先日「AI翻訳家」って何だ?! 安易な(副業)講座にはご注意を!という記事を書きましたが、今回は私が実際に経験した「AI翻訳案件」の状況についてお伝えしたいと思います。
もくじ
「AI翻訳を手直しするだけの簡単なお仕事」の裏事情
ぱっと見の案件情報の予算が「一人当たり」とは限らない
私も利用している某アウトソーシングプラットフォームでは最近、「AI翻訳を手直しするだけのお仕事」といった見出しが乱立しています。そして実際の予算が例えば50,000円だとか書いてあったりして、「え、いいかも」なんて思うのですが、要注意。これが「全体予算」で20のタスクがありこれに対してワーカーを10人募集していたりします。すると、一人当たり5,000円、さらにこれが非常にボリュームのあるタスクだったりします。
「手直しするだけ」ったってまともにやろうと思えば時間はかかる
この手間のかかり具合ですが、私の場合は1本単価1,000円程度でDeepLの翻訳を直してください、というもので、さらにその1ファイルが200行以上あるものだったりしました(笑)。きちんとしたクライアントだと、事前のトライアルで「これくらいのファイルが〇本くらいです」と、ボリュームと単価を示してくれるのですが、低単価の場合だいたいそんなことはしてもらえません。結局その1,000円の仕事に5時間くらいとられたりして、もうその時点で時給200円レベルです。ポイ活よりはいいかもしれませんが、そもそもポイ活レベルの稼ぎをしたい人が翻訳業務に手を挙げるでしょうか。時間を「かけずに」日本語のおかしなところ(ぱっと見無いですよ…)「だけ」直すようなことをしていたら別でしょうが、私が見る限りAI翻訳による誤り(代名詞の指す内容の取り違い、文脈に合わない単語の意味の選択、などなど…)は相当発生していたので、そんなやり方ではとんでもない品質になっていたと思います。
悪条件でもやりたい人は次々現れるのでワーカーは使い捨てOK
そんな感じなのですが、やはり「翻訳案件」というのはやりたい人が多いようで、私がうっかり取ってしまった案件も(内容は面白そうだったんです…)次々と新入りの方がチームに入ってきていました。採用担当の人は大変だろうと思うのですが、「こんな低単価やってられん!」と辞めようが、次々やりたい人間は現れるので、問題ないわけです。いわば使い捨ての駒ですね。
一度受注したらどんなに悪条件だと気づいても中途放棄はできない
そして、どこのアウトソーシングプラットフォームもそうだと思うのですが、いったん受注した以上は、納品せずに案件放棄などしたらよほどのことがない限りクライアントから悪評価をくらいます。その後の実績に響くのが怖いので、ワーカーとしてはこれはできない。なのでポイ活レベルであっても納品まではやらざるを得ないわけです。まさにデジタル蟹工船(死語?わかります…?蟹工船)
案件は割とすぐ終了しがち?
私が経験した案件はノルマ制ではなく手を挙げてできる分をこなしていくタスク制でした。これは不幸中の幸いだったわけですが、一か月ほど最低量をこなしながら様子を見ているうちに、「案件終了」のお知らせが。オンラインコンテンツ系だったので反響が芳しくないなどいろいろあったのかもしれません。別案件への移行を打診いただきましたが、内心これ幸いとそっと辞退させてもらいました…。
それですら大半の採用は「英語力」で決まる
と、このような案件模様なわけですが、こうした案件に応募してくるワーカーたちをどうやって選ぶかと言うと、基本「英語力」なわけです。専門的な案件であればそれ以外であったり、海外在住経験有でナチュラルな口語がわかる人、といった条件がついたりもしますが、応募者が多く競争倍率10倍、20倍となったときに結局何で選ぶでしょうか。
「英語力がない」と低単価案件すら取れない可能性大
常識的に、同じ案件にTOEIC650とTOEIC900の人が手を挙げてきたら、そりゃわかりやすく英語力の高い方が採用されますよね?でもって、採用側もした経験上、最近はTOEIC900くらいの人も副業狙いで普通に仕事取りに来てますから。…某広告のように、「英語力がなくても」翻訳案件が取れる、と主張するならば、え、一体どこで?となるわけです。講座修了生に仕事のあっせんしてくれるの?絶対「する」とは書いてないと思いますよ。
ということで、実体験からの報告でした。AI翻訳の副業関連全般の注意喚起については以下に書いています。あわせて参考にしていただけたら幸いです。
安易に稼ごうとする前に英語力あげていきましょう!
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